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2006年05月17日の記事のリスト

「天然石がわかる本」は天然石がわかりづらい本

2006年05月17日 (水) 00 : 18
遅ればせながら、やっと昨日紀伊国屋で購入しました。
ぱらぱらとしか読んでいないのですが、ぱらぱら、と読んだだけでも、わりとつっこみどころ満載の本だなー、と思いました。

この本が「教科書」の「天然石検定2級」試験なんて、9000円も払って受ける必要があるのかな~・・・という疑問符で、アタマがいっぱいに。
9000円といえば、宅建試験くらいの受験料。
日ペンの美子ちゃん並の資格に払うお金かなーーーー・・・。

間違ったことが書いてある、というわけではないんですよ。
ただ、とても「不親切」な、わかりづらい本かと。
いったい、この著者の方は、「鉱物」としての天然石について説明したいのか、「宝石」としての天然石について説明したいのか、非常にわかりづらい本です。
天然石業界の販売実態を、分かっているのかもしれませんが、「買う側のための正しい石の知識」を伝授するため、というよりは、やっぱり最初に私が想像したように、「売る側に睨みをきかすために、わざわざ混乱させるような」狙いがあるのかなぁ、という感じ。
「そっくりさん」として、必ず外見上似ている石の名前を引っ張り出してきているのだけど、その、そっくりさんじたいの写真がない場合が多々あるので、面倒です。
(そう言うなら載せとけよ、と思いましたね。だってさー、「そっくりさん」の名前だけ覚えても、そっくりさんの外見を知らないのでは意味がない話じゃないですか。まるでそれじゃ、歴史の年号をテストのために暗記するのと変わらないですよね)
それと、文章中に出てくる石が、写真のどれに対応するのか、説明がないため、ぱっと見、とてもわかりづらい。
ある程度、石のことを知っている人でないと、「ただ名前を暗記するだけ」の、ばかみたいな勉強しか、この本ではできないと思います。

「石の知識」を求めるのであれば、この本を最初、ってのはお薦めできないなぁ。
八川さんの、「パワーストーン百科全書」のほうが、そういう意味では化学元素の由来についてまで説明してくれているので、何ゆえその石がその組成なのか? というところにまで思いを巡らせることができるので、はるかに「アタマに入りやすい」本だと思いますよ。

あと、「教科書」なのに、著者の方の「感情的な匂い」が渦巻いているのも、ちょっとどうかと思いました。そういう、「嫌味」な記述が多いのです。
「石好きの方の夢を崩すようだが」とか、そういった記述は、「教科書」にふさわしからずな気が。(これは、アフガンラピスについて触れている部分にある記述)

「ルチルレイテッドクォーツ」の項には、「これは不思議な事なのだが、水晶中に入っている針状のものは、なぜかすべてルチルと思い込まれているようだ。」とかねー。
んなこと、思ってるわけないじゃんかー。
・・・でもまぁ、これに関しては、確かに「ルチルクォーツ」として、金針、赤針、緑針、黒針、の別に説明しているよーなパワストショップもあるので、鉱物的には、確かに謝ってはいるのは事実なんだけど。(黒針はショールトルマリンですので、トルマネイテッドクォーツなのです。ブラックルチルってわけじゃありません、確かに)
もうちょっと「違う書き方」すればいいのにな、と思います。教科書なんだから。

つまり、「ルチル」という鉱物そのものについて説明し、「このルチルが水晶中に針状に入っているものだけを、“ルチルレイテッドクォーツ”と呼ぶ。」って記述でいいんじゃないでしょうか。

なんかねー。
「わしが石の権威なの!!」っていう著者の虚勢というか、主張がむんむんした本ですね。文部科学省という後ろ盾を得て、得意になってるような感じの。
あんまり、石への愛情が感じられない。
で、巻末に、コバンザメのように、“スポンサー”の広告が掲載されているのが、ちょっと涙ぐましい感じがします。
これ、まんま、ミネラルショーで貰うパンフレットのようですね。

よっぽど、鉱物好きの方のサイトなんかで教えていただく「石の説明」のほうが、「なるほど感」があって為になると思います。
ホントウに好きで鉱物コレクターになっている方のほうが、こだわりがあるためか、追求心が旺盛だし、「石を語る言葉が、伝わる」感じがします。

ただまぁ、褒めるところがあるとしたら、A4変形の大きな本で、写真は格別に綺麗です。石の写真を見るために買うとしても、そこには価値はあるかもしれません。

あ、そうそう、ひとつだけ、教えてもらったとゆうか、収穫がありました。
以前、「ホークスアイ」の時にお知らせした、私が持っている「黒~グレーのキャッツアイ効果のある石」ですが、たぶん、この本に書かれている「そっくりさん」のことではないかと。
何しろ、流通名が不確定な石なので、名前がないのです。
かつて旧満州で発見された“満州トラメ”とありました。
棕櫚の木がカルサイトで化石化したもので、グレー色をしている。とありました。
でも、写真がないので、定かではありませんが。

なんか歯にモノが挟まったような釈然としない思いで、先日お店の名前が出てきたAquacubeさんという石屋さんを見ていたところ、なんとなんと、ありました。その石。
「クォーツキャッツアイ」という名称で販売されていました。これです。
(ほんと、この店って“ない石”がないなー・・・凄い)
クォーツキャッツアイ

これ見てもらえると分かると思うのですが、別にこれを「ホークアイ」だと思う人はいないと思うんですよね。
私も別に「ホークアイ」だと思って購入していないですし。
売っている方も「ホークアイですよ。」と言って販売していないし。
「ホークアイがファルコンズアイと呼ばれるけれども、こちらのほうが、その名にふさわしいのではないだろうか?」という説明書きはありましたけれど。
(むしろ、ホークアイよりも珍しい石だと思うので、ホークアイ値段で買えるなら、そのほうがいいくらいです)
この本の中の「そっくりさん」って、そういう無理くりに探し出してきてるものが、ちらほら目に付きました。

それと、どうせなら、「〇〇ジェード」って販売名の石は翡翠じゃないよ、っていうことの、もっと分かりやすいはっきりとした説明とか、「サーペンティンとニュージェード」についての混乱を一掃するような説明とか、そういう肝腎なところが抜けている、という気が。

「文章力」というものの大切さを、この本を反面教師として改めて悟りましたね。

まぁ、教科書ってのも、人が書くものなので。
子供の頃には、「教科書=正しい」でしたので、その目線一方向で読んでみると、ヤバ目の本ではないでしょうかね。


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カテゴリ :  石のホント or はてな?
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